今月のMovie

(2004年 9月号)


「スチームボーイ」
 
 原案・脚本・監督: 大友 克洋
 2004年 東宝



アニメ映画=宮崎 ジブリという思い込みが
すっかりぶっ飛んでしまった映画でした。

もしも、hitopyの熱烈な「行こう」コールがなかったら、
私は大友監督なんて知らずに終わっていただろうなあ。
それは、一生の不覚だ。
それくらい、この映画はすごい・すごい・すごい!!!!


★★ストーリー★★
19世紀イギリスが舞台
発明家の祖父ロイドと父エディの留守をまもり、母と暮らす13歳の少年レイのもとに
なぞの金属ボールが送られてきた。
このボールこそが、祖父と父によって創り出され、
驚異的な蒸気エネルギーを封じ込められた「スチームボール」だった。
このボールをめぐり、オハラ財団とイギリス軍はし烈な争奪戦を繰り広げる。
その争いに、レイは巻き込まれ、オハラ財団の囚われの身となる。
そこで、父と祖父との再会を果たすレイは、
やげて、思いもよらない事実を知らされることになるのだった・・。


とにかく、背景の書き込みが半端じゃない。
細かけりゃいいってもんじゃないけど、パンフレット見て納得しました。
制作期間9年、製作費24億、18万枚の動画に3Dデジタルを駆使。
人物画はともかく、
「蒸気」を主人公にしてしまうなんて。
ただのまっしろい蒸気が、アニメで本物以上に本物らしく
まるで生き物のような迫力で、熱とか湿度まで感じそうだった。
あと、金属の質感とかもすごくリアル。
万国博覧会場のクリスタルパレスという当時の建築物にも驚いたし、
ガラスに映りこむ人物の表情とかも、実写みたいだった。

キャラクターで気になったのは、
やっぱりスカーレット。
オハラ財団会長の14歳の孫娘。
お金持ちのお嬢様にありがちな高慢でわがままな性格一点張りかと思いきや
そうでもない、不思議な魅力を持っている。
こういうヒロインの性格は、宮崎アニメでは、絶対ありえない。
名前がすごいもの。「風と共に去りぬ」の彼女と同じ名前だよ。
大友監督の次回作は、このスカーレットが主人公になるとかならないとか。

あと、イギリス軍側のエンジニアのデイビッドという男性。
映画のはじめのほうでは、レイを助けたりして、
とってもいい人かと思ったのに、
後半で、「そんな〜;;」みたいなキャラにダイヘンシーンしたりして・・。
でも、このデイビッドみたいな人物像こそ、われわれ普通の人間の姿かもしれないし。


声優は、
レイ役には、鈴木 杏さん。
中性的なイメージにぴったりでした。

そして、一番ぴったりはまっていたのは、
スカーレット役の小西真奈美さん。
最初彼女の声だと知らなくて、でも映画が終わってからも、スカーレットの声がずっと頭に残っていて
それが小西さんの声だと分かった時、おもわず「へえ〜」とうなってしまいました。
スカーレット役には、小西さんの声以外ありえないと、今でも思います。

あと、オハラ財団のやとわれ社長で武器商人のサイモン役の斉藤 暁さん。
映画「踊る大捜査線」の名物3羽ガラスでおなじみの個性派俳優さんです。
武器を売るためには、人の生死も無視できる淡々とした商売人でもあるのですが、
スカーレットのお守り役として、「お嬢様」には頭が上がらないといった感じがうまく出ていました。

他の役の声優さんも豪華メンバーですぞ。

これを機会に
「AKIRA]も読んでみようかなあ。

うわっ、アニメますます楽しみだあ。